―歴史の中にシャープがある。デザインがある。ミュージアム40周年合同企画「IN HISTORY」―
こんにちは。シャープミュージアムの中谷です。このシリーズでは、ミュージアム説明員の藤原と中谷が、シャープの製品や歴史について自由に語ります。ほんの少しでもシャープの歴史にご興味を持っていただけましたら幸いです。
今回語るのは、2006年(平成18年)「AQUOSケータイ」です。
シャープ100有余年のあゆみを紹介するシャープミュージアム歴史館。
遠路はるばる来場くださるお客様をご案内するとき、一番の喜びは、「あー、そうそう、あった。あった。懐かしいー。」と、感嘆の声を耳にする瞬間です。シャープの歴史の中に、お客様とシャープ製品との接点がある。そんなお客様の思い出の一頁をそっと共有させていただけること、いつも嬉しく思っております。
「AQUOSケータイ」の愛称で生まれたサイクロイド・ワンセグケータイは、歴史館の中でも幅広い世代のお客様を笑顔にする製品史料のひとつです。
まだ「スマートフォン」という名称すらなかった頃。2006年4月、東名阪エリアを皮切りにワンセグ放送サービスが始まると、このサービスはほどなく全国に拡がりました。そんなモバイル機器向け地上波デジタル放送「ワンセグ」を見ることのできる折りたたみ型携帯電話として「AQUOSケータイ」は発売されました。画面の大きさは2.6インチ。
当時では一般的だった折りたたみ型でありながら、ディスプレイを横に90度回転させて、携帯電話を手で持っても、机に置いても、テレビ視聴を楽しめる新しいスタイルが話題になりました。「読む、撮る」ができる携帯電話が、持ち運べるAQUOSテレビとして登場し、その画面でテレビ番組を目にした時の感動が蘇ります。
この製品の特長といえば、90度に回転するディスプレイ。
このディスプレイの開発ストーリーについて、当時の開発者に話を聞く機会がありましたので、その話をもとにご紹介します。
会社のあらゆる場所にいた各分野のエキスパートから集められたプロジェクトメンバーたちは、「人はモバイルでテレビをどう観るのか?」「生活におけるケータイの最適な視聴シーンはどんなものか?」と考え、ケータイの使い方を論理的に示したモデルをいくつも作って検討を繰り返しました。そして採用したアイデアが、この「T字型」。90度にディスプレイを回転させるデザインです。
この「T字型」デザインなら、
・テレビは横向きにして観たい
・電車の中で片手でしっかり握って持ちたい
・通話やメールは慣れた使い勝手で使用したい
・仕事や家事をしながら、そばに置いてテレビを観たい
といった、モバイルでテレビを観るときの人々の思いを満たせます。
しかし、壁が立ちはだかりました。
このT字型デザインを実現するためには、画面を横向きにしたい。けれども回転軸を中心に回転させるとボディーが大きくなってしまう・・。開発メンバーたちは必死に回転機構のアイデアを考え、チーム一丸となって課題解決に取り組みました。
そうした中、導き出された解決方法が「回転軸を移動させる」サイクロイド機構です。
当時の話を聞いて、サイクロイドスタイル誕生までの道のりには、機構や回路、液晶、ワンセグチューナー、デザインなど、バックグラウンドは異なるものの互いに信頼しあう専門家たちの「諦めない気持ち」を強く感じました。
ところで、このサイクロイド機構・・いったいどんな風に回転軸は移動するのでしょうか?
そのしくみを見て納得したい方は、ぜひシャープミュージアムへ。とっておきの「透明サイクロイドAQUOSケータイ」を展示しております。ぜひ見にいらっしゃってください!
今回はここまで!次回は「前面開閉式レコードプレーヤー」についてご紹介する予定です。
【シャープミュージアムは2021年11月で設立40周年を迎えました】
シャープミュージアム公式はこちら:https://corporate.jp.sharp/showroom/
このシリーズでは、シャープミュージアム説明員の藤原と中谷が、シャープの製品や歴史について自由に語ります。ほんの少しでも、シャープの歴史にご興味を持っていただけましたら幸いです。