Design Stories

IN HISTORY

歴史の中にシャープがある。デザインがある。

1987(昭和62年) カプセルレンジ「RE-2」

―歴史の中にシャープがある。デザインがある。ミュージアム40周年合同企画「IN HISTORY」―

こんにちは。シャープミュージアムの藤原です。このシリーズでは、ミュージアム説明員の藤原と中谷が、シャープの製品や歴史について自由に語ります。ほんの少しでもシャープの歴史にご興味を持っていただけましたら幸いです。

今回語るのは、1987(昭和62年) カプセルレンジ「RE-2」です。
“テーブルの上で、マイルームで、キッチンを飛び出したカプセルレンジ“
当時のキャッチコピーから解放感と開放感が伝わってきます。

食卓でチン!する楽しさ

これが電子レンジ?
キッチンの隅にひっそり置かれる電子レンジ、その「四角い金属製の箱」というカタチから解き放たれ、食卓の上に置いてクッキングのお手伝いをしてくれる、まぁるいレンジの登場です。

スープがプクプクと温まる様子をシースルーカプセルの外から見守ることができるレンジは、食卓を囲む家族の会話も弾んだことでしょう。

「食卓の上で使う」をコンセプトにしたRE-2では、この頃の調理家電で流行していたビビッドなレッド、ピンク、グリーン、ブルーなど、キッチンの隅でも目立つ個性的なカラーバリエーションとは一線を画して、ベース部分にホワイト・ベージュ・ブラックと3色のバリエーションでした。これをスモークのガラスドームで覆いどんなテーブルシーンにも溶け込むことで、食卓に並べたお料理やインテリアを邪魔しないカラーになっています。
「食卓の主役はお料理。だから私ではなくてお料理に注目してね!」
そんなメッセージがまぁるいドームの中から聞こえてくるようです。

あの華やかな時代の新ライフスタイルが背景でした

カプセルレンジが生まれた1987年。日本はバブル景気真っただ中。この頃、「仕事も趣味や生活も充実したい」というライフスタイルの潮流に合わせ、時間を上手に使う提案型商品が次々と生まれます。

お料理ブックのバーコードを読み取って調理してくれるバーコードレンジ(私の母はこれでよくケーキを焼いてくれました)。今では普通になったスタンド型掃除機。乾燥洗濯機。パンも焼ける、ご飯も炊ける、おもちも作れるホームベーカリー・・・

そんな中、調理の楽しさや新しい食卓のコミュニケーションツールとしての使い方を考えて生まれた”理由のあるカタチ”を評価していただき、1987年度(昭和62年度)通産省のグッドデザイン商品に選定されました。

今でも感じる新しさと魅力

残念ながら食卓で電子レンジを楽しく使うというライフスタイルは定着しませんでしたが、私はこのRE-2を見ると愛くるしくて、当時の食卓の光景を想像しながらついつい使ってみたくなります。30年以上前の製品でありながら今なおとても不思議な魅力を放つ製品です。

今回はここまで!次回は世界最薄カード電卓「EL-8152」について、電卓戦争に発展する時代背景とともにご紹介する予定です。

【シャープミュージアムは2021年11月で設立40周年を迎えました】
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このシリーズでは、シャープミュージアム説明員の藤原と中谷が、シャープの製品や歴史について自由に語ります。ほんの少しでもシャープの歴史にご興味を持っていただけましたら幸いです。